夏の選手権中止に伴い開催された山形県の独自大会「山形県高等学校野球大会2020」で、鶴岡東は見事、優勝。東北大会出場を決めました。また、こちらも中止となった春のセンバツの代替試合である甲子園交流試合にも弾みをつけたといっていいでしょう。
大会を通して目立ったのは、昨秋から結果を残していた打線の充実。相手投手のレベルも考慮しなければいけませんが、昨秋、仙台育英の投手陣からも7点を奪っていますので、数字だけの力ではないでしょう。
秋から今回の独自大会を通じて感じるのは選球眼のよさ。ボールには手を出さず、難しいコースはカット。そして何より甘い球を見逃さず振り切る姿勢がチーム全体に浸透している印象を受けます。「それを打つか!」というよりも「失投を許さない」打線といえばいいでしょうか。相手からみれば、派手さはなくともやっかいな感じでしょう。たとえ超高校級のバッターがいなくても、こういった打撃ができるチームは点を取れます。
また近年、顕著な選手層の厚さは今年も投打に見せてくれました。準々決勝の羽黒戦では公式戦初登板の2年生左腕・津田正斗が先発のマウンドに登ってしっかりと試合を作れば、準決勝は背番号1の太田陽都、決勝は昨秋の背番号1、小林三邦がそれぞれ完投勝利(準決勝は7回コールド)。野手陣も昨秋からのレギュラー陣はもちろんのこと、折原登生、齋藤翔太朗、高橋晃瑛ら各試合、スタメン起用された選手たちも持ち味を発揮してくれました。
これで秋夏と県内無敗。センバツ、選手権の中止という「夢」を失う経験した選手たち。心折れても致し方ない状況の中、気持ちを持ち直し、全力プレーとスキの無い戦いを見せてくれたことに心から賞賛を送りたいです。
チームを率いる佐藤俊監督からは、独自大会の戦いを振り返る以下のコメントをいただきました。
「もともと我々は全員野球を掲げていますし、私自身、より多くの選手を起用して勝つことを理想としています。その点で試合ごとにベンチ入りメンバーを変更できる今回の独自大会は、いつもの夏と同じように、いや大会期間中もチーム内競争ができた分、例年以上の戦い方ができたと思います。センバツ、夏の選手権が中止になるなか、チームは〝甲子園交流戦で勝って終わりたい〝という思いのもとに活動しています。そのためにも山形では負けられない。そう練習に励んできたので優勝という結果は本当にうれしい。選手たちを褒めてあげたいです」
昨秋はベンチ外だった新戦力の起用も印象的でした、と伝えると「折原は投手もしていたのですが、持ち前のパワーを生かし、打撃を磨いていたので結果が出てよかった。津田もOBのみなさんに『秘密兵器』と今年も言っていただけるような活躍をしてくれたかな、と思います」とうれしそうに答えてくれました。
すべては甲子園での勝利、有終の美のために。
その前にまず明日9日からの東北大会も「全員野球」で頂点をつかんでほしいですね。
東北大会、甲子園ではさらに高レベルの投手たちが相手になります。そこで結果を残し、今年の鶴岡東の強さが本物であることを全国へアピールしてくれることを祈ります。がんばれ後輩たち!